認知症対策
不動産共有問題の解決
共有不動産のトラブル回避信託(不動産の共有問題を解決)
状況
相談者 Aさん 74歳男性 (家族 姉2人 Bさん84歳 Cさん75歳)
Aさんは、古いアパートをAさんと姉2人の3人で共同所有しています。
長姉のBさんは84歳、次姉のCさんは75歳です。
長姉のBさんは、高齢のため近頃物忘れが激しくなってきています。Aさんは建物が古くなっているので大規模な修繕・建替えを考えているところですが、もし長姉のBさんが認知症となり判断能力が低下したらどうなるのか心配です。
問題点
Bさんが判断能力を低下し認知症となった場合、成年後見人を家庭裁判所に選任してもらうことになります。
しかし、本人に一定以上の資産がある場合などは親族が成年後見人となれず専門職(弁護士など)が成年後見人につくこととなります。
不動産が共有の状態である場合、共有者の間での意思統一が出来なければ建替え・大規模修繕・売却などは出来なくなります。
そのため、Aさんが建物の建替えなどをしようとする場合、専門職の成年後見人に同意してもらう必要がありますが、必ずしも成年後見人が同意してくれるとは限りません。
また居住用の不動産の売却などの処分は家庭裁判所の許可が必要ですが、家庭裁判所の許可を得ることは一般には困難と言えます。
そうなると、Aさんがアパートの建替えなどをしたいと考えても実際には何も出来なくなってしまいます。
問題の解決
家族信託を活用した場合
Bさんを委託者兼当初受益者、受託者をAさんとCさんの2人とする家族信託を設定します。この場合、Bさんの不動産の持分を信託財産とすることになります。家族信託を設定しておけば、その後にBさんが認知症になり成年後見人がついても不動産の管理は受託者であるAさんとCさんの二人で行うことが出来ます。
信託をした財産については、成年後見人の権限は及ばなくなります。AさんとCさんとの話し合いができれば、アパートの建替え・大規模修繕・売却なども問題なく出来ることになります。